Blog for Nameless-Value

novel, essay, poetry, criticism, diary

どうなんだい、娘よ、そっちは?

君だけは仮にこの列島から脅威の侵略軍が攻めてきたとしても、助かる可能性はあるんだぜ。


もし僕の親族全員が死に絶えても、君と君のお母さんだけは何とかお母さんの国へ行って、君から君の子孫へと遺伝子だけは受け渡されて行ける。


どうか、君は大勢子を儲け君の子孫達を未来永劫、命の繋がりで受け渡して行っておくれ。


何でそう思うかって言うとさ、この国の大半の人達は自衛って言う観念なんてないしさ。


だって結局家族ってのは、未来へと遺伝子を繋いでいって貰う事だろう?


ひと家族だけいつも仲良い塊を築いて、死ぬときも一緒なんておかしいと思わないかい?


僕は生まれてこの方、生き延びて行かれる自分の子孫をどう残すべきかだけ考えてきたんだよな。そんな折、君のお母さんがひょっこりと僕の目の前に現れたって訳さ。


僕の生まれた国の人達を守るのをさ、もうすっかり僕たちの同盟国の人達はさ、疲れ切っている感じすら印象として受け取れるんだよな。だってあの国はね、全ての他国と交易を絶っても世界で唯一生き残っていける国なんだからさ。


今もう一つのあの大国はさ、かつて散って行った自分たちの子孫を再集結させることしか頭にないんだよ。一つの国にだけ纏めてさ。そうなったら、僕たちの同盟国が僕たちを助けなんてくれやしないさ。だって僕たちを助ける為に彼等の貴重な命を差し出してなんてくれやしないからさ。


だからどうか、僕の血も入った君の家系をこの国が絶体絶命の危機へ陥ったなら、未来永劫繋いでいってくれたまえ。だって君のお母さんの国の方がずっと僕たちの今いるこの国よりは安全だからさ。だからこの国に何かあった時には真っ先に君のお母さんと君自身の事だけを考えてくれよな。


君と君のお母さんに神のご加護あれ!


僕の唯一の幸せは君が君の子孫を未来永劫反映させていってくれることだけなんだからね。



2021年9月25日。