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其方が啓く道

君には予定調和なんてない。
というのも、君はこの険しき日々にて、その先行き不透明な現実へ君のやり方でその都度決める即妙なアドリブで生き抜いてきているからだ。


君が啓いていく道は君の選択次第だ。
君のその麗しき瞳が投げかける道とは、それへ忘れられぬ気持ちを無数の忘れられた人達へ差し向けるのだ。


この世界のどのエリアにも大勢の見捨てられ、忘れ去られた人々が生活をしているけれど、それこそが嘘偽りなき世界の真実の姿だ。


君の投げかける瞳の輝きこそ、初春に付き物の突風を春の青空へと染み渡らせてくれる。その零れ落ちる様はどんな隙間にも密やかに入っていくのだ。


君の心が感じて受け止めるその隙間に何時だって、君の心の空白を埋めるかの様な動きが埋めて行こうとするんだよな。


だから君は一切居場所を探そうともしない。だって君にとっては、貧しき報われもしない人達へだけ君の心が差し向けられる道だからなんだ。だから君の見据え差向う道は目標とかではないのだ。だって恵まれない全ての人達が疲れ果てた心を癒したり、失意の内にあるのを慰めたりするように君の歌声が届くだけでいいからだ。


もし君の慈悲深い気持ちを言葉で表そうとすれば、君のその優しさで、絶望の淵にある人達の気持ちを、君のその慈悲深い気持ちで揺り籠に居る様な気持ちにさせてあげられる君の存在そのものかも知れないよな。


だから君のその心をもし別様に解釈するなら、きっとほんのささやかなほっとする気持ちだけを欲するのだけが心の支えで全財産である様な人達にだけ君が全てを捧げる気持ちでいるという事だけだよね。


だから時々、君がする事で誰かがそれを見て小さな幸せを底に見出す、それだけでいいんだろうね、皆にとっては。


君の瞳が発する輝きは、慈悲もなく全てを奪われた人達を、ほんの一瞬だけでもほっとさせて笑みを取り戻してあげられ、そこで嬉しいから一粒の涙を流してしまう、きっとそれだけなんだろうよ。


君が啓く道とは、ずたずたに傷ついた心を再び少しでも前向きに回復していける様に、心に闇を抱える人達を勇気づける事なんだ。だから君は決して無理強いしないし、何か敢えて力を添えるなんてこともしない。どんな気の毒な人にも。


君が啓く道はきっと無残に全てを奪われた人々を一瞬だけでもちょっとした君の笑みを思い出せ、そこで枯れて居て流せもしなかった涙を流させて上げる、そうして癒して貰えるだけでいいんだよ。そこに君の歌声がある。





2022年5月27日。



付記。この詩をウクライナの国歌を、ずたずたに傷ついた心の全ての人達と、彼等へ歌って癒やしてくれた少女へ贈る。