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不眠症同盟

不眠症に苛まれる野郎どもや女どもは、眠たげに日中を過ごし、にも拘らず夜もきちんとは眠れないのだ。


で、結局、何となくぼおっとした気持ちの侭ずっと一日過ごしてしまうけど、やるせないのだ。


だから、彼等は皆その一日中何となく怠くて、仕方ない感じを最大限巧く活用し様とする訳だ。


日がな退屈であると、とんでもない想像も脳では働く。
何故って、退屈なことだけが最も良く本当に楽しい事を知っているからだ。


そういう抑揚もなく漫然と過ごすことが、最も単調の侭一日中遣り過ごされるってことだ。


でも、そう言いながら、実はそういう不眠症の連中こそ、最も手際よく仕事する術を心得ても居て、意外と何をやらせてもそうなのだ。


というのも結局不眠症とは、眠れない長い夜を日中記憶しているからだが、日中きつい仕事をしてきていて、却ってそう易々と寝付けないことで長い夜は作られる。


不眠症の連中は皆画一的な時間を過ごしてきている。で、その時間の性質とは、凄く平凡極まりなく、何の強弱も、特色もこれと言ってないっていう事なのだ。


で、結局そういった凡庸で全くとりとめのない平板な時間こそが全く素晴らしく価値あることなのだ。


何故なら、そういう平板で特色のない時間は決して懐かしく何てなりもしないし、又そうでなくなったって、妙に寂しいって思えないからだ。


人間なんて、結局そういう無個性的な停滞にいるだけなのだ。


で、時たまひどく破壊主義的な思考が炸裂して表へ飛び出しても、それって意外と地味でそう害悪でもないのだ。


正にそれこそが、不眠症同盟の凄い意味深さなのだ。


楽しくもなければ笑顔もないし、感動何てさらさらないからこそ、彼等は同盟できるのかもしれない。そう、それが彼等の驚嘆すべき事実だ。つまり、そうやって彼等は皆結束し合い、自分達の居場所を確かなものにするのである。


何の起伏もドラマチックな展開も持たない世界中の彼等不眠症同盟に栄光あれ、誉あれ!




2022年2月19日