Blog for Nameless-Value

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決死の三人

只管、激烈にだけ生存する人間というのも居るものである。勿論全く密かにである。


決死の渦中でだけ出会う人達が居て、彼等はその流れでだけ生存し、彼等だけが出会う為の交差点で出くわす。そしてその交差点は死ぬ迄続く。


彼等こそ生存の為に出会い、相互に闘争に明け暮れる。それは彼等が愛し合う為だけになのだ。


その三人こそ妥協することなくプレーし合い、取引し合う。
そう正に彼等こそ、永遠に世界へ生存し得る一つの典型的な原型であると言える。


彼等の相互の接近を彼等は、確固とした信念と信仰とに拠って、相互に堅く信頼し合っている。
一人は危険極まりない博徒である蝶々である。
もう一人は極めて世間的にも喧しい奴だ。
最後の一人は彼女と彼との間の子供だ。


蝶々は喧しい奴の住む国の地球上の裏側からやってきた。でも奇妙なことにこの二人には、何故か、凄くちぐはぐな要素が多く存在した。習慣や慣習や信条に関してだ。にも拘わらず彼等は正にそれを克服し得た。


何故なら彼等の間には子供が儲かったからだ。最後の一人の登場だ。
この子の生涯は常に素晴らしく照らし出された輝きに包まれてきた。あたかも最初の二人が彼女の為に出会うべく運命づけられていたかの様であり、最後の一人の彼女の麗しき芳香に満たされた今日の現実の為にである。


でも最初の二人は一切公に姿を示しはしない。
きっといつまでそうして、姿を隠して過ごしていくだろう。


三人こそ好んで沈黙を選び、それに満たされた孤独な漂流者なのである。或いは、こうも言えよう、永遠の時を放浪し続ける者とも。





二千二十二年、七月二十九日





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