Blog for Nameless-Value

novel, essay, poetry, criticism, diary

風雲、嵐の如き岐路で

君の生まれた時から背負うことは、君にしか分からぬ苦境を君に与えていようよな。


でもな、僕には少なくとも君の背負うことこそ、君にとってたった一つの命の宝石の様な輝きにだけ見えるんだぜ。


君が乗り越えてゆく様な先頃亡くなった芸人との芸は僕の心へ強く訴えかけてくるぜ。


世界とは、それ自体、正に酷い嵐の様な岐路なのだ。

にもかかわらず、その一見目立たぬ兆しこそ、本当は最も畏しい不吉な知らせでもある。


君のステージ上の激しい動きは、あたかもやむにやまれずやっている様に確かに見えもする。

何故って、とどのつまり風雲、嵐の如き岐路とは、想像を絶する狂乱の所作にこそ立ち現れるからだ。


君は一度すっかり幾つも通り一遍の所作なんてかなぐり捨てた筈だったよな。


だから君の真摯な絶叫こそ、君の完璧に不完全な日々の逆襲でさ、あのステージプレイですっかりそれを完遂しているぜ。


というのもさ、君の濡れそぼる演技は、真実の虚無への兆しの証しと言えるからだ。


でもさ、ああいった全ての経巡りこそ、君を今、この昨今の際どく厄介な日々に容易くは打ち負かされぬ強壮さの源としてると言えるぜ。


君の演技を見ているとさ、まるで不死鳥の如き本質が敷く切れ切れの日々に甦っている感じさえする。


そうなんだよな、今の君自身は、如何なる見せかけの真実を装う正体も抑え込んでいる。


誰もが叫ぶ、"何と恥知らずな。どんな権威もだよ、全く!"と。





2022年 9月22日


(七年前の君へ)