Blog for Nameless-Value

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猫っていいなあ、でも僕だってひょっとしたら....

猫ってどこかに勤めたりしなくていいなあ。


可愛ささえすれば、人に可愛がって貰っていれば一生安泰だからな、ま、独居老人に死なれ孤独死して誰からも発見されずにいたりしない限り。


でも彼等には彼等なりの辛さもきっとあるんだろうな。
可愛がって貰えなくならない様に、彼等なりに色々気を遣っているのかも知れないね。


でも、どこにでも上がったり、飛び降りたり、その身の軽さって、身のこなしはどんな人間のアスリートより優れている。努力してそうなっているんじゃないからね。


いっそ猫に生まれついていれば良かったって思えることもよくあるよ。
でも猫だけじゃなくさ、犬もいいかも知れないし、人に可愛がって貰えれば、それでいいっていうのは、やっぱ気楽そうで魅力あるよ。


馬はよく走れればいいけれど、一度足を怪我すれば、もうおしまいだから、馬だっていつも危険と隣り合わせで気が気じゃないだろうね。馬の生涯は冒険家、活動家の人生みたいかも知れないね、或いはギャンブラーとかの生き方って言うか、要するに生活がさ。


皆生まれてきた者は、それぞれそれなりの使命がきっとあるんだろうね。だから結局自分にしかできないことをよく見極めなきゃなんないっていう訳なんだよな。それはきっと猫でも犬でも馬でも同じかも知れないよ、勿論俺達人間だってだけどよ。


でも、やっぱりものぐさな俺には、猫っていいなって、そう思えるよ。
猫に本当のところを聴いてみたいよ。本当はどうなんだいってさ。どうなの?猫に生まれてきたのってさ、楽しいのか、それとも大変じゃないのかってさ。



君はいつも僕達人間の家で飼われていたって、自分でした糞を隠そうとするよね。僕達に飼われ家で生きていたって、君は完全に人の世界には生きられない。


だって僕達みたいに言葉で理解する世界に生きているんじゃないから、たまたま僕達家族が一人で淋しいからで、君を飼っていたって、君はそのことを僕達みたいに言葉で理解している訳じゃないし、又僕達が君を守ってあげるって思っていたって、ここは俺の家だから誰も勝手には入ってはこれないんだってことも君には説明してあげられないしね。


僕達は皆どこかの会社とかに勤めているなら、雇用契約とか何とかって色々と決まり事の中で生活しているけれど、君はそうじゃないからね、契約として飼われてみようっていう訳じゃないからね。


只たまたま僕達に拾われるか、誰かから貰って連れて来られて、そこに居るだけなんだからさ。とても大切に可愛がられていたってさ、でも大丈夫だよ、君のした糞の臭いを嗅ぎつけて僕の家に闖入してきて、君を追い出す様な野良猫を僕は君の側に置いたりなんかしないからさ。


そう、でも君にはそれは分からない。
だから僕達は皆言葉で理解できることと、そうでないこととを、例えば或る時には身体で感じることを巧く分けられない。だってお医者さんに診て貰う時だって、ここが痛いとか凭れるとかって言葉で説明してしまうからね。


でも、君達はきっとそうやって僕達みたいに言葉で理解して生活している訳じゃないから、理屈なんてない、きっとね。


だから君達はいつも、その時々で大丈夫なことと、そうでないこととを、一瞬で判断して生きている。
そう、でもね、ひょっとしたら、僕達も又君達みたいになんなくちゃなんない時も経験するかも知れないけどね。


だからきっと君達は僕達よりずっと身体と心の気配だけで神経を研ぎ澄まして生きているんだろうから、僕達もいざって時の為にその本能的判断、肌でだけ感じられることも大切にしなくちゃいけないよね。


だから僕達はラジオを聴く時、同じ部屋に流れているWi-Fiの電波に遮られて聞き取り難いことをスイッチを捻るその時にやっと気づく訳だけどさ、君はそうじゃないかも知れないね。
君は僕達が何かしてみて初めて分かるみたいなことでも、もっと前に直ぐ理解してしまうのかも知れないね。


でも、君はもういなくなってしまっているから、それを君に聴くことはできない。


只言葉で理解するってことがないだけ、凄く鋭く感じられることも、これからは大切にしていきたいと、そう君のことを思い出しながら考えても居るんだよ。


君を見ていると、あの寒い夜、僕のところに転がり込んで来た遠い国のあの子のことも思い出すよ。


あの子は今何処で何しているのか、そうだ、君が探し出してきれくれはしないかい?
無理だろうな。君にもきっと。


何でそんなことを自分に頼むのかだって?


そりゃ僕だって何時此処から居なくなって違う所に行って、あの時のあの子みたいに別の誰かの処に行ってしまうかも知れないからさ。
そう、自分の未来が一番客観的にはよくわからないもんさ。


君があの子を探し出してくれるんなら、僕はいつまでも君だけは離さないで、何処に行くにしても、君を必ず連れて行くよ。
今度は絶対にさ。


そうしたら、僕がラジオが聴きたくなったら、その時には君が感知して、教えてくれよ、Wi-Fiがそこでは邪魔しているよってさ。


そこに行って僕の方を向いて啼いてくれるだけでいいからさ。


猫っていいなあ、でも僕だってひょっとしたら….勿論、君が僕の家から僕の留守中に何処かへ居なくならない限りね。
(Oct.31th, Nov. 14th Dec. 4th. 2019)